去年の秋、大田区内で記録的な大雨があって、浸水の被害を受けたという声をいくつか聞きました。自分の家や事務所が水に浸かるかもしれないと思うと、何か備えておきたい気持ちは分かります。ただ「どこから手をつければいいか」が分からなくて、そのままになっている方も多いのではないでしょうか。
地域情報メディア『オオタノトビラ』でエリア担当ライターをしているミチノリです。整体師として大田区内で仕事をしながら、区のお知らせをこまめにチェックしています。こういった補助の制度は、存在を知っているかどうかで動けるかどうかが変わってくるので、今回は止水板の助成制度について確認してみました。
この記事では、制度の対象になりそうな人は誰か、助成を受けるにはどの順番で動けばよいか、そして公式情報で何を確認すれば安心かを整理しています。
去年の9月に何が起きたのか
2025年9月、大田区を含む東京南部で「記録的短時間大雨情報」が発令されました。1時間に100ミリを超える雨が降り、一般的な排水設備の処理能力をはるかに上回る状況でした。呑川や丸子川など区内の中小河川の水位が急上昇し、道路の冠水と建物への浸水が相次いで発生しています。
大田区ではこの被害を受けて、総合的な水害対策の一環として止水板の設置を支援する助成制度を新たに設けました。2025年12月8日から受け付けが始まっています。
止水板とは何をするものか
止水板は、建物の入り口や開口部に設置して外から水が入り込むのを防ぐための設備です。大きくは「設置工事が必要なタイプ」と「自分で取り付けられる簡易型」に分かれます。
工事が必要なものは、玄関や駐車場の入り口など幅の広い開口部に設置することが多く、業者に依頼して施工します。簡易型は、ホームセンターや通販でも買えるパネル状のものが多く、一人でも取り付けられるタイプが中心です。どちらも今回の助成の対象になっています。
対象地域かどうかの確かめ方
この助成を受けるには、対象区域内の建物であることが前提になります。対象になるのは、過去に浸水被害が起きた地域と、大田区が発行するハザードマップで浸水想定区域に指定されている地域です。
使うハザードマップは「中小河川ハザードマップ」と「内水氾濫ハザードマップ」の2種類です。大田区の公式サイトからPDFで確認できます。浸水実績図については令和7年4月以降のものが現在更新中とのことで、詳細は区の担当窓口に直接相談する形になります。

ハザードマップで色がついているエリアなら、まずは窓口に聞いてみる価値があります
誰が申請できる制度なのか
対象区域内にある建物に止水板を設置して使う方が対象です。個人でも法人でも申請できます。ただし、いくつか対象外になるケースがあります。
- 止水板の修繕や部品の交換が目的の場合
- 国・東京都・区から同種の補助を既に受けている場合
- 売買目的の建物に設置する場合
- 仮設の建物に設置する場合
自宅や事業所として使っている建物に、新たに止水板を設置するのが基本的な前提です。区内に住民登録があるかどうかによって助成の上限額も変わるため、自分がどの条件に当てはまるかは申請前に確認が必要です。
助成額の目安はどのくらいか
助成額は工事費用や購入費用の一定割合を区が負担する仕組みです。個人と法人で助成率と上限が異なります。令和8年度時点での内容を大田区公式で確認できます。
| 種別 | 助成率 | 上限額(個人) | 上限額(法人) |
|---|---|---|---|
| 止水板設置工事 | 個人(購入費の5分の4) 法人(購入費の5分の3) | 100万円(区外在住の個人は50万円) | 150万円 |
| 簡易型止水板購入 | 個人(購入費の5分の4) 法人(購入費の5分の3) | 25万円 | 20万円 |
助成は原則として1棟につき1回が限度です。金額の端数処理や条件の詳細は、制度の要綱や区の担当窓口で確認するのが確実です。数字だけで判断せず、自分の状況を伝えたうえで確かめるのが安心だと思います。
工事と購入で手続きの順番が違う
申請の流れは、設置工事と簡易型購入で大きく異なります。特に設置工事の場合、工事を始める前に申請書を提出して、区の交付決定を受けることが必須です。決定前に工事を進めてしまうと助成を受けられなくなります。
まず区の担当窓口に連絡して、対象地域かどうか・制度の適用条件を確認します。
設置工事の場合は、工事着手より前に申請書を提出します。書類審査を経て区から交付決定の通知が届きます。
交付決定後に工事または購入を進めます。簡易型購入の場合は購入後に申請書を提出します。領収書は必ず保管してください。
設置工事の場合は区の現場確認もあります。審査通過後、助成金が口座に振り込まれます。
簡易型は自分で買って取り付けてもよい
簡易型止水板は、小売店で自分で購入して自分で設置しても助成の対象になります。特定のメーカーや販売店の指定もありません。ただし領収書が必要になるので、購入時に必ず受け取っておくことが前提です。
設置工事を業者に頼む場合は、手続きの一部を業者に委任することもできます。どちらの方法が自分に合っているかは、建物の状況や開口部の構造によっても変わるため、まず区の窓口に相談してから判断する流れがスムーズです。
設置後10年は自分で管理が必要
助成を受けて設置した止水板は、交付から10年間は設置者自身が適切に管理することが原則とされています。「設置して終わり」ではなく、使えるかどうかを定期的に確認しておく必要があります。
10年というのは長いようで、気づいたら劣化していたということも起きやすい期間です。年に一度、台風シーズン前などに動作を確認する習慣をつけておくと安心かもしれません。
現時点で確認できることとできないこと
大田区公式ページと区のプレスリリースで確認できた内容をまとめておきます。
- 確認できていること
-
制度の助成率・上限額・手続きの順番・対象外になるケース。2025年12月8日から受け付け開始済みであることも公式で確認済みです。
- 現時点で未確認の点
-
令和7年4月以降の浸水実績図は現在更新中です。自分の住所や建物が対象区域に入るかどうかは、区の窓口に直接確認するのが確実です。
助成額の区分表(工事・簡易型それぞれ)はPDFに記載がありますが、詳細な条件は窓口での個別確認が必要です。制度の内容は年度によって変わる可能性があるため、申請前に必ず最新の公式情報を確認してください。
今週末にできる小さな一歩
まず手元でできるのは、大田区の防災ハザードマップで自分の住所や建物の所在地を確認することです。中小河川ハザードマップと内水氾濫ハザードマップの両方を見て、色のついているエリアに入っていれば、制度を使える可能性があります。
わたし自身、今回この制度を調べてみて、対象地域かどうかをまず確かめることが入り口だと感じました。ハザードマップを開いてみると、自分の周りの地域の状況が思ったより具体的に見えてきます。
「対象になるかどうか分からない」という段階でも、区の担当窓口(建築調整課、電話03-5744-1308)に相談できます。まず確かめるだけでも、動いておいて損はありません。












